投稿日:2025年04月10日

美容皮膚科や皮膚科で処方される保湿外用薬の主な種類として、ヒルドイドとヘパリン類似物質があげられますが、2つの違いを疑問に感じる方も少なくありません。
この記事では、ヒルドイドとヘパリン類似物質の違いや効果、種類、注意点などについてご紹介します。保湿効果のある外用薬を使用したいと考えている方は、ぜひご覧ください。
ヒルドイドとヘパリン類似物質の違い

ヘパリンとは、主に肝臓で生成される多糖類の一種で、血液の凝固を防ぐ働きを持つ物質です。医療分野では血栓塞栓症の防止や治療、血液凝固防止などにも使用されます。
ヘパリン類似物質は、ヘパリンに似た性質をもっており、吸水性、保水性に優れている物質です。
ヒルドイドはヘパリン類似物質を含む保湿剤で、処方薬として代表的な製剤です。また、後発品としてヘパリン類似物質油性クリームがあり、成分や効果に大きな違いはありません。
軟膏やクリーム、ローション、フォームなどの剤形があるため、肌の状態や塗布する部位、季節などによって使い分けるのがおすすめです。
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)の効果

ヒルドイド(ヘパリン類似物質)には、以下のような効果が期待できます。
- 保湿効果
- 血行促進作用
- 抗炎症作用
- 線維芽細胞増殖抑制作用
保湿作用
ヘパリン類似物質は「親水性」を持ち、水分子を引き寄せて保水する能力があります。また、皮膚に水分を浸透させるため、保湿力効果を発揮します。保湿力は持続性があり、長期的に皮膚のバリア機能を強化し、外部刺激による水分蒸発を防ぎます。乾燥肌の改善や皮膚の保護に適しています。
血行促進作用
ヘパリン類似物質には、皮膚組織の血流量を増加させる血行促進作用があります。血行を促すことで、皮膚のターンオーバーが促進され、傷跡ややけど跡の治療にも効果を発揮します。さらに、血流量が増加すると乾燥や炎症を伴うあかぎれの改善にも役立ちます。
抗炎症作用
炎症を引き起こす物質のエラスターゼや活性酸素はプラスの電気を帯びており、ヘパリン類似物質がもつマイナスのスルホ基によって中和され、組織の損傷を防ぎます。さらに、タンパク質やヒアルロン酸を分解する酵素の働きを抑え、皮膚の構造を保護するのが特徴です。抗炎症作用によって、乾燥による肌荒れを鎮めるだけではなく、関節痛や筋肉痛の炎症にも効果が期待できます。
線維芽細胞増殖抑制作用
線維芽細胞はコラーゲンやエラスチンを生成する細胞ですが、炎症時に過剰に増殖する場合があります。線維芽細胞が過剰に増殖すると、ニキビ跡や手術跡が盛り上がってケロイドになる可能性があるため、過剰な増殖には注意が必要です。ヘパリン類似物質には、線維芽細胞の増殖を抑制する作用があり、ケロイドや傷跡の拘縮などの改善が期待できます。
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)の種類

ヒルドイド(ヘパリン類似物質)には、以下のような種類があります。
- ソフト軟膏
- クリーム
- ローション
- フォーム・スプレー
ソフト軟膏
ソフト軟膏とは、油を主成分とし、水を含む油中水型のクリームです。水分が多く、べたつきを感じることもありますが、皮膚への密着度や保湿効果が長時間続きます。また、水で洗い流しやすく、一般的な軟膏と比べて伸びが良い点が特徴です。刺激が少なく、乾燥が強い部位や敏感肌の方に適しています。
クリーム
クリームは、水を主成分とし、内部に油を含む水中油型の製剤です。ソフト軟膏と比べてべたつきが少なく、伸びが良い点が特徴です。使用感はさっぱりしており、年間を通じて使いやすい製剤です。広範囲への塗布や日常使いに適しています。
ローション
ローションは伸びが良く、軽い塗り心地が特徴で、広範囲の塗布に適しています。頭皮にも使用でき、さっぱりとした使用感のため、夏場や汗をかいているときにもおすすめです。
ただし、まれに刺激を感じるケースもあるため、敏感肌の方は注意が必要です。
フォーム・スプレー
フォームは、やわらかい泡が噴出する剤形で、空気中に飛散しない点が特徴です。スプレーは、液体をミスト状に噴射するタイプで、油分を含まないため、べたつかずさっぱりとした使用感があります。広範囲に素早く塗布でき、背中などの塗りにくい部位やお子様にも使用しやすい製剤です。
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)の注意点

ヒルドイド(ヘパリン類似物質)を使用する際の注意点を紹介します。
副作用
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)は、乳幼児にも使用できる薬剤ですが、まれに以下のような副作用が生じる場合があります。
- 皮膚炎
- かゆみ
- 発赤
- 発疹
- 潮紅
- 紫斑
製剤の種類によって副作用が異なる場合があります。使用後に異変を感じた場合は、すぐに使用を中止し、クリニックを受診してください。
禁忌
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)は、以下の方は使用を控える必要があります。
- 過去に薬剤によってかゆみや発疹などのアレルギー症状が出たことがある方
- 出血性血液疾患のある方
- 妊娠または授乳中の方
また、他の薬を使用している場合、併用によって作用が強まったり弱まったりする可能性があるため注意が必要です。妊娠や授乳中の方、血友病や血小板減少症、紫斑病などを患っている方は、自己判断せず、必ず医師に相談してから使用してください。
まとめ
ヘパリン類似物質は、ヒルドイドに配合されている成分であり、「ヘパリン類似物質」と名のつく製品はヒルドイドの後発品です。両者に大きな違いはほとんどありません。一部の製品は市販薬として入手可能ですが、症状に応じた適切な使用のために、できるだけクリニックを受診し、医師の指示を受けることをおすすめします。
TCBスキンクリニックでは、患者様のご希望や症状に合わせて、適した治療や製品を提案します。外用薬による美肌治療のご相談も承っておりますので、ぜひお気軽に無料カウンセリングまでお越しください。
本ページの監修医師
美容内服薬・外用薬やサプリメントなどのホームケアは、「日々のスキンケアでは物足りない」「医師と相談しながら身体の内側から綺麗になりたい」と考えている方におすすめです。TCBスキンクリニックでは、シミを改善するハイドロキノンや、美白効果のあるクリスタルトマトなど、肌の状態に合わせた治療薬を処方いたします。また、肌に関する治療だけでなく、脂肪を体外へ排出するダイエット内服薬もご用意しております。患者様がリラックスしていただける環境を整え、丁寧なカウンセリングで皆様のお悩みを改善いたしますので、お気軽にご相談ください。
【町田院】

経歴
- 東京慈恵会医科大学医学部 卒業
- 東京慈恵会医科大学附属病院
- 都内美容クリニック
- 東京中央美容外科 町田院 院長