
抗生物質は、炎症性のニキビの治療に効果的です。さまざまな製剤をニキビの状態によって使い分けられますが、使用の際は使用期間や頻度を守る必要があります。この記事では、ニキビ治療における抗生物質の効果や種類、使用上の注意点を紹介します。ニキビ治療を検討中の方は参考にしてください。
抗生物質がニキビに効くのはなぜ?

抗生物質には、ニキビの原因になる菌を減少させて炎症を抑える働きがあります。強い炎症が原因でニキビが多発している場合は、抗生物質で早めに症状を鎮静化させると効果的です。治療できるのは赤ニキビや黄ニキビのような炎症性のニキビで、炎症を伴わない白ニキビや黒ニキビにはほとんど効かないため注意してください。ニキビの原因菌の1つであるアクネ菌は、肌の健康を保つうえで必要な働きを担う菌でもあります。むやみに抗生物質を使用するとアクネ菌を殺菌しすぎてしまう可能性があるため、ニキビを改善したあとの状態を考えて正しい使い方をする必要があります。
ニキビの治療に用いられる抗生物質(内服薬)

ニキビの治療に用いられる抗生物質の内服薬には、主に以下の種類があります。
- ビブラマイシン(ドキシサイクリン)
- ミノマイシン(ミノマイクリン)
- ロキシスロマイシン(ルリッド)
- ファロム(ファロペネム)
ビブラマイシン(ドキシサイクリン)
ビブラマイシンは、炎症を抑える・皮脂の分泌量をコントロールする・アクネ菌の増殖を抑制する3つの働きによってニキビの発生や症状軽減に効果を発揮します。アクネ菌以外の細菌が引き起こすニキビの治療にも有効です。
ミノマイシン(ミノマイクリン)
抗菌力が高く、アクネ菌を殺菌してニキビの発生を抑制する効果があります。皮脂を分解して脂肪酸の発生を抑えるため、ニキビによる炎症を軽減します。他のニキビ治療薬に対して耐性を持ったブドウ球菌にも有効です。
ロキシスロマイシン(ルリッド)
アクネ菌の生存と繁殖に必要なたんぱく質の合成を阻害し、増殖を防ぐ働きがあります。ニキビの赤み・腫れの防止と炎症の悪化予防に効果的です。ロキシスロマイシンは膀胱炎・肺炎・副鼻腔炎の治療薬としても使用されるため、耐性菌が発生しないように医師の指示を守って適切に使用する必要があります。
ファロム(ファロペネム)
ニキビの原因菌を守っている細胞壁の合成を阻害し、破壊しやすくして殺菌する効果があります。副作用のリスクが低く、ビブラマイシンが使用できない場合に推奨されるケースが多いです。
ニキビの治療に用いられる抗生物質(外用薬)

ニキビの治療に用いられる抗生物質の外用薬には、おもに以下の種類があります。
- クリンダマイシンゲル
- アクアチム(ナジフロキサシン)
- ゼビアックス(オゼノキサシン)
クリンダマイシンゲル
有効成分であるクリンダマイシン酸エステルがアクネ菌の増殖を抑制し、炎症性のニキビを改善する効果があります。肌への浸透が早く刺激や負担が抑えられるため、バリア機能が低下した状態でも使用できる特徴があります。
アクアチム(ナジフロキサシン)
ニキビの原因であるアクネ菌やブドウ球菌のDNA複製に必要な酵素を阻害し、増殖を阻止する効果があります。菌が耐性を獲得しにくいため長期の使用が可能で、敏感肌・乾燥肌の方にもおすすめです。
ゼビアックス(オゼノキサシン)
アクネ菌・黄色ブドウ球菌・表面ブドウ球菌を殺菌する効果がある抗菌薬です。おもに化膿したニキビの治療に用いられます。耐性菌の発現率が低く、ローションタイプと油性クリームタイプの2種類の製剤があるため乾燥肌でも塗りやすい使用感です。
ニキビ治療に抗生物質を使用する際の注意点

ニキビ治療に抗生物質を使用する際は、以下の点に注意しましょう。
- 長期的な使用で耐性がつく
- まれに副作用がみられる
- 長期的な使用で感染症のリスクが上昇する
長期的な使用で耐性がつく
抗生物質を長期的に使用すると、原因菌が薬に対する耐性を獲得して効きにくくなる可能性があります。そのため、慢性的なニキビの治療には不向きです。ニキビ治療に限らず、抗生物質の連用は耐性菌を生み出すリスクがあるため、長期的な治療を行う場合は別の計画が必要です。症状が治まっても細菌が残っているケースがあるため、使いすぎたり自己判断でやめたりしないように注意しましょう。
まれに副作用がみられる
抗生物質は、消化器系の副作用やアレルギー反応を引き起こすケースがあります。胃腸内の善玉菌や必要な微生物にも影響し、腹痛・下痢・吐き気や胃酸過多を伴う場合があります。人によってはアレルギー反応が生じる恐れもあるため、過去に薬物反応を経験している場合は医師にその旨を伝えましょう。
長期的な使用で感染症のリスクが上昇する
抗生物質の長期的な使用は、体内の細菌バランスに影響を及ぼして感染症のリスクを上昇させる可能性があります。抗生物質の耐性菌が増えると、治療効果が低下して肺炎や関節炎などの感染症を引き起こしやすくなります。炎症性のニキビのケアや防止に努め、抗生物質の使用量を留める意識が大切です。
ニキビ治療におすすめな美容治療

炎症を伴わないニキビや慢性化したニキビなど、抗生物質が使用できないニキビの治療には、以下の美容治療がおすすめです。
- 内服・外用薬
- 美容注射
- 光・超音波治療
内服・外用薬
ニキビ治療に有効な内服・外用薬には以下のものがあります。
- 【内服薬】
-
- トラネキサム酸
- シナール配合錠
- ピドキサール
- リボフラビン酪酸エステル
- 【外用薬】
-
- トレチノイン
- アダパレン
- ディフェリンゲル
- Dr.sローション
ニキビには白・黒・赤・黄の種類があり、それぞれ効果的な治療法が異なります。ニキビの治療薬は種類が豊富なため、ニキビの状態や肌質に合わせて選択が可能です。継続的にニキビの治療薬を使用する場合は、皮膚科に相談して適したものを処方してもらってください。
美容注射
ニキビを改善する美容注射には、以下の2つがあります。
- プラセンタ
- リジュラン(サーモン注射)
プラセンタは、ニキビの改善・予防に効果的で、メルスモンという製剤は更年期障害の治療にも用いられます。リジュランはニキビを改善するだけではなく、自己回復力を高めて内側から若々しい肌を目指します。どちらも副作用やダウンタイムが抑えられる点が特徴です。
光・超音波治療
ニキビの治療を目的とした光・超音波治療には、以下の2つがおすすめです。
- IPL光治療
- エリシスセンス
IPL光治療は、表皮から真皮にかけてさまざまな波長の光を照射し、ニキビをはじめとした肌トラブルの改善に効果的な治療法です。エリシスセンスは、極細の針を用いて皮膚に高周波エネルギーを照射し、肌の治癒効果やターンオーバーを利用してニキビをはじめとする肌悩みを内側から改善する治療法です。IPL光治療はニキビの悩みにピンポイントでアプローチでき、エリシスセンスはニキビができにくい肌を目指せる利点があります。
まとめ
ニキビ治療に用いられる抗生物質の種類や、使用上の注意点を紹介しました。炎症性のニキビに抗生物質は有効ですが、使用の際は必ず用法・用量を守りましょう。繰り返すニキビ・症状が重いニキビにお悩みの方は、ぜひTCBスキンクリニックにご相談ください。
本ページの監修医師
肌は年齢や生活環境、日々のストレスなど、多くの要因から影響を受けやすく、人それぞれお悩みが異なります。乾燥やしみ、毛穴やニキビなど、肌トラブルは放置せず、悪化する前に早めの対処をしてください。TCBスキンクリニックでは、患者様が安心して治療を受けられるよう、医師が丁寧にカウンセリングを行い、肌の状態やお悩みに応じたプランをご提案いたします。美しい肌を手に入れるためには正しい知識を持ち、適切な治療を選ぶ必要があります。どんな肌悩みでもお気軽にご相談ください。皆様の理想の肌づくりをサポートいたします。
【札幌駅前院】

経歴
- 横浜市立大学医学部 卒業
- 茅ヶ崎市立病院
- 日本医科大学 皮膚科
- 東京中央美容外科 札幌駅前院 院長
備考
- 日本美容外科学会(JSAS) 正会員
- 日本美容皮膚科学会 正会員
- 日本皮膚科学会 正会員
- ボトックスビスタ® 認定医
- ジュビダームビスタ® 認定医
- 日本美容医療学会(JAPSA) 会員