投稿日:2025年08月05日

重症ニキビの改善には、「イソトレチノイン」という有効成分を含む内服薬が処方される場合があります。イソトレチノインは、従来のニキビ治療薬で十分な効果が得られなかった方や、炎症が強いニキビに悩む方に効果的です。ただし、副作用が強く現れる可能性があるため、「怖い」と感じる方もいるかもしれません。
リスクを正しく理解し、医師の指導のもとで適切な対策をすれば、過度に怖がる必要はありません。適切な効果を得るために、医師の指示に従い、慎重に使用することが大切です。
このコラムでは、イソトレチノインの副作用や注意点などについて解説します。
イソトレチノインとは

イソトレチノインは、難治性や重症のニキビ、再発を繰り返すニキビの改善に有効な内服薬です。ビタミンA誘導体の一種で、皮脂分泌の抑制や毛穴の詰まりの改善などに作用します。
アメリカでは、ニキビ治療薬としてFDA(アメリカ食品医薬品局)に承認されていますが、日本では未承認医薬品のため、医師によって処方された場合のみ購入可能です。
イソトレチノインの副作用
イソトレチノインは、ニキビに対して高い治療効果を持つ一方で、特有の副作用が発現する可能性があります。服用中に症状が現れた場合は、すぐに服用を中止し、医師に相談してください。
- 唇や皮膚の乾燥
- 脱毛
- 精神疾患(気分の落ち込み、不安など)
- 関節痛や筋肉痛などの痛み
- 胎児への影響
- 血液検査値の異常
唇や皮膚の乾燥
イソトレチノインは、皮膚のターンオーバーを促進し、皮脂分泌を抑えることでニキビを改善する内服薬です。ターンオーバーが促進される過程で古い角質が剥がれ落ち、皮膚のバリア機能が低下するため、唇や皮膚の乾燥が起こりやすくなります。
特に唇の乾燥は、イソトレチノインの副作用のなかで最も一般的です。また、粘膜も乾燥しやすく、ドライアイや口角炎、皮膚炎、鼻血などが生じる場合があります。
乾燥が気になる部位には、保湿剤やリップクリーム、目薬などを使用し、適切な保湿ケアを心がけてください。
脱毛
イソトレチノインの服用により、まれに抜け毛が増える場合があります。抜け毛は、ビタミンA誘導体の作用により皮膚の角質化が進み、頭皮が乾燥することが原因とされています。
症状の多くは、イソトレチノインの服用を中止すれば自然に回復します。ただし、抜け毛の量が多かったり、症状が気になったりする場合は医師に相談してください。
精神疾患
イソトレチノインの服用中、まれに不安感が強まったり、気分の落ち込みやイライラを感じたりと、精神的な変化が現れる場合があります。また、頻度は低いものの、うつ病や幻覚、自傷行為、自殺企図といった症状が出る可能性もあります。
このような症状が見られた場合は、速やかに医師に相談し、適切な対応を受けてください。また、服用者の家族が精神的な変化に気づいた際も、早めに医師へ相談することが重要です。
関節痛や筋肉痛などの痛み
イソトレチノインの服用中は、関節痛、筋肉痛、あるいは骨の痛みなどが生じることがあります。激しい運動によって症状が悪化する恐れがあるため、注意が必要です。
適度な運動であれば問題ありませんが、症状の悪化を防ぐため、服用中は激しい運動を避けてください。
胎児への影響
イソトレチノインはビタミンA誘導体の一種で、細胞の増殖や組織の形成に強く作用する可能性があり、胎児の発育に悪影響を及ぼす場合があります。胎児奇形や早産、流産、死産などのリスクが高まるため、妊娠中や妊娠の可能性がある方、授乳中の方は服用できません。
また、胎児への影響を防ぐため、服用中および服用開始前後1ヶ月は、必ず避妊対策を行う必要があります。
血液検査値の異常
イソトレチノインの服用により、まれに肝機能の低下や脂質異常などの血液検査の異常が見られる場合があります。そのため、服用開始後は定期的な採血検査が必要です。
検査で異常が確認された場合は、服用の中止や減量など、医師の指導のもとで適切な対応を行う必要があります。
イソトレチノインの副作用を避けるための注意点
イソトレチノインは、重度のニキビに効果的な内服薬ですが、重大な副作用やリスクを伴う可能性があります。副作用を防ぐためには、禁忌や使用上の注意事項を正しく理解することが重要です。
禁忌
イソトレチノインは重篤な副作用を引き起こす可能性があるため、以下に該当する方は服用できません。
- 妊娠中の方や妊娠を希望している方、授乳中の方
- ビタミンA過剰症の方
- 過去にイソトレチノインでアレルギー反応を起こした方
- 大豆またはナッツアレルギーのある方
- アスピリン喘息のある方
- 精神疾患のある方、または治療中の方
- 肝機能障害で治療中の方
- 高脂血症や高コレステロール血症で治療中の方
注意事項
イソトレチノインを安全に服用するためには、以下の点に注意し、必ず医師の指示に従って治療を進めてください。
- 服用中および前後1ヶ月間に性行為を行う場合は、必ず避妊する
- 妊娠が判明した場合は、すぐに服用を中止する
- 服用中および服用後1ヶ月間は、妊娠や授乳、献血を避ける
- 光感受性が高まるため、日焼けに注意する
- 医師の処方薬であるため、他人に譲渡しない
また、服用開始から1〜2週間後に肌の活性化による好転反応として、治療前よりニキビが悪化する場合があります。ただし、好転反応は一時的であり、通常4~6週間程度で落ち着きます。
イソトレチノインの効果
イソトレチノインは副作用のリスクを伴う内服薬ですが、医師の指導のもとで正しく服用すれば、リスクを抑えて治療を行うことが可能です。以下では、イソトレチノインの主な効果についてご紹介します。
皮脂分泌の抑制
イソトレチノインは過剰に働いている皮脂細胞の働きを正常化し、皮脂腺を縮小するため、皮脂の分泌を抑える作用があります。過剰な皮脂分泌を防ぐことで、ニキビの原因となるアクネ菌の増殖を抑え、ニキビができにくい肌へと導きます。
毛穴詰まりを改善
イソトレチノインの服用により、毛穴の詰まりの原因となる角化異常が正常化され、ニキビの悪化を防ぐ効果が期待できます。角化異常とは毛穴が角質が硬く厚くなり、開いたままになることで、皮脂が溜まりやすくなる状態です。
イソトレチノインは皮膚細胞に作用して角化異常を抑えると、毛穴の詰まりを改善し、ニキビができにくい肌へと導きます。
抗炎症作用
イソトレチノインには抗炎症作用があり、アクネ菌の増殖を抑えるため、ニキビの炎症や悪化を防ぐ効果があります。また、毛穴の炎症も抑えるため、ニキビ跡や赤ら顔などの肌悩みの改善にも有効です。
まとめ
イソトレチノインは、副作用のリスクがあるため「怖い」という印象を持たれる場合もありますが、正しく服用すれば決して危険な薬ではありません。アメリカをはじめとする海外では、重度のニキビ治療薬として長年使用されており、医師の指導のもとで適切に治療を行えば、ニキビの改善が期待できます。
TCBスキンクリニックでは、重度のニキビにお悩みの方に向けてイソトレチノインをご案内しています。服用をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。無料カウンセリングにて、服用方法や副作用、注意点について丁寧にご説明いたします。
- イソトレチノインは、医薬品医療機器等法上、未承認の医薬品です。
- 服用には医師の診察が必要であり、診断結果によっては処方できない場合があります。
- 当院で扱うイソトレチノインは、国内販売代理店経由で入手しています。
- 同程度の効能・効果で承認されている国内承認医薬品薬剤はありません。
- FDA(アメリカ食品医薬品局)など、諸外国で重度のニキビ(結節性ニキビ)の治療薬として承認されており、胎児の催奇形性、鬱、精神病などの副作用が報告されています。
- イソトレチノインの使用は、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。
本ページの監修医師
肌は年齢や生活環境、日々のストレスなど、多くの要因から影響を受けやすく、人それぞれお悩みが異なります。乾燥やしみ、毛穴やニキビなど、肌トラブルは放置せず、悪化する前に早めの対処をしてください。TCBスキンクリニックでは、患者様が安心して治療を受けられるよう、医師が丁寧にカウンセリングを行い、肌の状態やお悩みに応じたプランをご提案いたします。美しい肌を手に入れるためには正しい知識を持ち、適切な治療を選ぶ必要があります。どんな肌悩みでもお気軽にご相談ください。皆様の理想の肌づくりをサポートいたします。
【札幌駅前院】

経歴
- 横浜市立大学医学部 卒業
- 茅ヶ崎市立病院
- 日本医科大学 皮膚科
- 東京中央美容外科 札幌駅前院 院長
備考
- 日本美容外科学会(JSAS) 正会員
- 日本美容皮膚科学会 正会員
- 日本皮膚科学会 正会員
- ボトックスビスタ® 認定医
- ジュビダームビスタ® 認定医
- 日本美容医療学会(JAPSA) 会員